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ホラー
カーテンを締め切った薄暗い部屋の中で、テレビの画面だけが浮かび上がっている。
フラッシュライトのように画面が白く染まった瞬間、隣にいる男の肩が揺れるのを感じた。クーラーが効きすぎるからと理由を付けて二人で膝に掛けているタオルケットの下で、ぐっと手を握りしめられる感覚。

福富はこっそりと視線を横へ向けて彼を見る。荒北は画面を食い入るように見つめている。あんまりこういうのは好きじゃない、と言ったのはどの口か、彼はいつの間にかすっかり夢中になっていた。

ありきたりなホラームービーだ。(こういったものの好きな後輩に聞けばこの映画はパニックムービーというのに入るらしいが。)最近部内で流行っているらしいことは知っていたが、まさか自分のところまでDVDが回ってくるとは思っていなかったらしい荒北がどんな顔をして福富の部屋を訪れたかは言わずもがなである。
「ビビりだって思われんのも癪だろォ」
どう言って押しつけられたのかと聞けばそう言う。こういった時に負けず嫌いというのは貧乏くじだと思うものの福富は口には出さなかった。

始まってからしばらくの間はバカみてえにちゃっちいな、だとかコドモ騙しだろ、とかそう言ったことを話していた。福富だってこういう類のものは得意ではないから荒北が話していると安心したりしたのだが、しかしどの辺りだっただろうか、中頃の、ヒロインが襲われるシーンになった頃にはもう部屋に響くのは映画のサウンドばかりだった。

くだらないし悪趣味だと思う。
それでもいきなり画面に血塗れの男が現れれば驚くし怖い。
福富はじっとりと手のひらに汗をかいている。荒北が福富の方へとさらに身を寄せると、福富の方も少し近付いた。同じタイミングで肩が跳ねたせいでがつんと骨同士が当たる音がした。しかしそんなことに構ってなんかいられない。不意に血が飛び散った瞬間に、荒北がひっと小さく声をあげたのが聞こえた。福富は何にも言えずに身をこわばらせるばかりだ。

「今日、こっち泊まる」
「頼む」
エンドロールをバックに掠れた声で荒北が言ったのに福富はそう応えた。こうなることは予測できたはずなのにそう出来なかったのは、きっと福富も負けず嫌いだったからなのだろう。


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