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本能
※絵チャでかいてたやつ



気まぐれはいつものことである。
薄暗い部屋で福富は小さく呻きながら、ついさっき自分を蹴り飛ばした男を見上げている。
「ごめんねェ」
でも、痛くはなかっただろ、と悪びれもせず男は言う。福富は黙ってそちらを見て眉を顰めると、確かに痛くはなかったがと心の中で文句を言った。しかしそれを口にしなかったのは彼の中にどこか諦めがあったからだ。口にしたところで、今の状況は変わらないし、そしてアイツが今からやろうとしていることだって変わらない。彼はそう思っていたのだ。

肘をついて浮かせかけていた身体を床に落として、福富はフローリングに寝そべったまま天井を見上げる。窓の方に視線を向けると、カーテンが開けっ放しになっていることに気が付いた。あのままだと、とふと思ったが、近付いてくる影に気が付いてそれを考えることもやめてしまう。

不意に、腹の辺りに重みを感じる。そちらに視線を向けると、すぐににたりとした笑みと目が合った。荒北が腹の上で笑っている。荒北は福富の身体に跨ったまま、彼の胸の辺りをなでる。「福ちゃん」と低く鳴るような声で呼ばれて、思わず福富はそちらに顔を向けかけるものの、慌ててその目を逸らして行き場をなくしてまた天井を見る。それを面白がるように笑う声が聞こえた。やめろ、と福富が言った声はかすれていてあんまり効果は見られなかった。荒北は福富が逸らした視線の方向に合わせるようにして、そちらに身を寄せてくる。福富が思わず息を飲んだのは、彼が見慣れない服を身に付けていたからだった。
「好きじゃない、これェ?」
四つん這いになって福富に覆いかぶさった荒北は、そう言いながら、自分の着ている服を引っ張って見せる。ピンクがかった白の、安っぽい布地。加減によっては下の肌の色まで見えてしまいそうなほど薄くて、それでいてサイズが合っていないせいか荒北の身体にぴったりとくっついている。目の端に「コスプレ衣装 ナース」と書かれたビニール袋が放り出されているのが見えた。馬鹿馬鹿しい。そうは思うのに福富はそれに対して何にも言えない。
好きだから具合が悪いんだ、と言うことも出来ずに福富は唇を噛む。荒北はそんな福富のことを知ってか知らずか、もう一度福富にナァと問いかけて、それからまた声を立てて笑った。人の悪い。そんなことを内心で思ってはいるものの、身体があんまり正直で福富は何も言えない。荒北の手が、自分のシャツを捲り上げて自分の腹の辺りを探っている。視線が無意識に自分の脚元の方へ向かって、そこでふと荒北がやっぱりスカートの下に何も履いていないことに気が付いて、深い息を吐いた。

「福ちゃんだってやっぱ好きなんじゃん」
こんなだし。荒北が言うのを聞いて、思わず顔を上げると、目を細めたままの彼に鼻先を緩く噛まれた。続けてそこをべろりと舐めあげられる。福富が唇を軽く噛んだのに、強情っぱり、と荒北は喉の奥で笑って、それから福富の腹に体重を掛けた。福富がわずかに身体を起こすと、薄い布地の下から持ち上がっている堅いものが腹筋の辺りに擦れて、荒北が少しだけ切なそうな顔をした。
それを見た瞬間、自分の中で何かが弾けるような感覚があって、そのまま福富は手を伸ばす。荒北が笑っていることに気付いた時にはもう手遅れだった。

「ほら、もっと奥まで」


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