[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
髪
それはある休日のこと。天気の良すぎる真夏日のことだった。俺と臨也の休日が被るなんて滅多に無いことだから今日はどこかへ出掛けようかと朝方に言ったはいいものの余りの暑さに耐えかねて、クーラーの利いた部屋で二人してソファに沈むばかりの午後のことだった。
何も考えずにテレビを見ている俺の膝を枕に臨也は雑誌を読んでいる。たびたび向きを変えるものだから膝に当たる髪の毛がくすぐったい。お返しにその髪を指先で梳いてやると臨也は猫みたいに目を細めていた。テレビを消すとページをめくる音だけが聞こえるほど穏やかな日だ。
臨也が雑誌を脇に放り投げたのを合図にその頬に手を滑らせると、同じように臨也も俺の頬を撫でた。お互い何も言わずにじっと目だけを見つめていた。
唇が目に付いたので俺が自分のを寄せてみようかと思った時、不意に臨也が口を開いた。
「君、髪の毛プリンになってるよ。」
いきなり言われたものだから、俺は一瞬何のことだかわからず目をあけたまま固まる。屈めかけた身体も動きようが無くなって中途半端な体勢のまま臨也の口元を見つめていた。
そんな俺を差し置いて臨也は素早く起き上がり「俺が染めてあげるよ」と歌でも口ずさむみたいに楽しそうに言った。髪なんて、と言おうかと思ったが俺の手にはまだ臨也のそれの感覚が残っていた。
「君の髪に触るのが好きなんだ」と臨也が先に口にした。
PR
COMMENT
