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ルート

あいつのことを「嫌い」だと言い始めてからずっと俺はある一つの不文律に縛られているような気がする。
確かに俺はあいつのことが嫌いで、自らの手で殺してやりたいと思うぐらいには憎い。死んでしまえと幾度と無く願ってきたし信じちゃいない神に頼ってみたこともある。俺はあいつのことが嫌いで、存在を認めるのすら不愉快だ。
しかしあいつ自身はどうなのだろう。俺のことをどう思っているのだろうか。
考えてみれば、俺はあいつに「殺す」と言われたことはあるが「嫌い」だと言われたことはない。「死ね」という言葉もよくよく考えればないかもしれない。それを他人に口にすればそんなものは自分勝手な思いこみだと笑われてしまうかもしれないが、俺の記憶が正しい限り(俺は自分の脳が他の人間より幾分か優秀であると自負している)それらの言葉が俺にたいして放たれたことは無いのだ。

不文律はこれのせいだ。
俺はあいつが嫌いなのに、あいつは俺のことをどうとも言わない。はっきりと「嫌いだ」と言ってくれれば俺だって嫌い嫌いであいつを殺しにかかるのに、その言葉一つ無いだけでどうしてだかナイフを握る手が急所をはずす。

「もしかするとあいつは俺を嫌いなんかじゃないかもしれない。」

そんな考えが頭の隅に引っかかったままもうかれこれ十年近くあいつと付き合っている。
勘違いだと切り捨ててしまえば楽になるのは目に見えているのに。こういうときに俺も単なる一人の平々凡々な人間であったと思い出す。これだけの年数殺し合って来た相手を好きになれるわけがないのにと頭ではわかっていても、あきらめの悪い感情が俺の体中をのたうち回る。俺があいつを嫌いなんだからあいつも俺も嫌いだろう、いいやでもあいつはそんなこと言っちゃいないし確証も無い、しかしそれにだって証拠は無いーーこうして堂々巡りがいつまでも続いていつまでも抜け出せない。
無益だといい加減に捨ててしまえばいいのに。ため息をついても胸にわだかまった煙を吐き出すことは出来なかった。

(割り切れない。)
心中の思いはいつまでもくすぶっているだろう。

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